【番外編②】なぜヨーロッパでは緑茶ではなく紅茶が普及したのか?

お茶~煎茶~

オランダに住み始めて半年が過ぎ、日本から持ってきた緑茶もそろそろ底をつきそうで、とても心細くなってきました。気軽に日本各地の緑茶を飲めていた日が懐かしいです。オランダのスーパーに行っても紅茶、紅茶、紅茶ばかり。紅茶ももちろん美味しいのですが、日本茶が本当に恋しいです。

さてそんな日々を過ごすなかで、ふとなぜヨーロッパで緑茶が普及しなかったのか疑問に思いました。
今回はその理由をさまざまな視点から考察してみましたので、あなたも一緒に考えてみましょう!

そもそも緑茶と紅茶の違いは

まずは緑茶と紅茶の違いをおさらいしましょう!
そこから見えてくるものがあるはずです。

日本茶と紅茶の製造で大きく違うのが、「発酵」という過程です。
日本茶は発酵せず乾燥の工程へと進むことが一般的ですが、紅茶はしっかりと「発酵」させます。
この発酵の工程を経ることで、コクや香りそして独特の赤みがかった水色がでるようになります。
よく日本茶と紅茶の違いで香りが大きく違うと思っている方が多くいると思います。しかし私は飲んだ時のどっしり感が日本茶と大きく違うのではと思っています。紅茶の方がズンと喉にインパクトがあります。反対に日本茶はすっきりまたはキレという言葉が一番しっくりくる印象があります。すっとのどを通り、後味さっぱりなのは日本茶ならではでしょう。

このことから欧州の人々コクのある紅茶を好むのではと推察します。まず体が大きく、食文化も味付けの濃い料理が主流です。肉の臭みを避けるため胡椒を多く輸入していた歴史もあることから、コクのあるしっかりとした味わいの紅茶が欧州の方には好まれたのではないでしょうか?

環境の違いはどうか?

環境の違いで一番大きな点は水ではないでしょうか?
日本と欧州で水の硬度が違うのはご存じの通りだと思います。
では具体的にどれほど違うのでしょうか?

日本の平均硬度:48.9mg/L
欧州(オランダ)平均硬度:240mg/L

オランダと日本を比較しただけでも約倍違います。
この5倍の違いは飲み心地・後味に大きな違いを感じます。
まず飲み心地はすごく違和感を持ちます。喉を通った時にザラっとした擦れる感覚をあります。
また後味も日本で飲む水道水と大きく違います。具体的には牛乳を飲んだ時と同じ感じがします。
いい意味で濃厚、悪い意味ではすっきり感が無いのです。喉が潤わないのです。

この硬度の違い、飲み心地は沸騰すれば軟水に近づくのか?という疑問がないでしょうか?
これは私の感覚では沸騰した硬水は軟水の飲み心地に近づいていると思います。ただしお湯が冷めて水になった瞬間、沸騰前の飲み心地に戻っています。

さて水の硬度の違いで日本茶と紅茶の味わいに違いはでるでしょうか?
答えは・・・・・でます。

紅茶は硬水を使い抽出すると、より鮮やかな赤色を抽出しとても綺麗です。コクも軟水で抽出した時と比べ、どっしりとした印象を持ちました。反対に日本茶を硬水で抽出すると、日本茶特有のキレが無くなり、少し重たい印象となります。この違いも欧州の方にインパクトが残らず紅茶ほどシェアを獲得できていない要因ではないかと思います。

歴史の違いはどうか?

欧州といえば紅茶というイメージが強いですが、それはいったいいつからなのでしょうか?
所説によると、17世紀に海上貿易を生業とし、世界を回っていたオランダが中国から伝え、18世紀にイギリスの貴族階級に広まったとされています。その後イギリスは植民地にしたアフリカなどで紅茶を栽培し、好みの味わいで仕上げていったようです。

しかし恐らく、発酵という過程は作り方が正確に伝わらず温暖な気候のアフリカからイギリスへ輸送中に発行が進み紅茶が生まれたのではないかと考えています。気品のある赤色が貴族社会へ受け入れられやすかったのも広まった理由かもしれません。

まとめ

今回お茶の特徴や環境の違い、歴史的背景を元に欧州で緑茶ではなく紅茶が好まれているかを考えてきました。味わい、環境、歴史の深さから欧州の紅茶市場へ日本茶が食い込むことは難しいかもしれません。しかし日本食のブームは衰えを知らないのも現地で生活していて感じています。このブームにのっかり日本茶も紅茶市場へ食い込んでいって欲しいものです。そしてスーパーでも購入できるようになって欲しいと心から望んでいます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
私が日本全国のお茶を飲んで感想をまとめている記事もありますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

【参考リンク】
日東紅茶
世界の水の硬度
日本紅茶協会

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