「日本三大○○」それは日本茶の業界にも存在します。
いわゆる、「日本三大銘茶」といわれるものです。
しかしあなたは日本三大銘茶と言われて3つ名前をあげることはできますか?
私たちの生活に身近な日本茶ですが、3つ全てを正解するのは意外に難しいのではないでしょうか。
今回は日本人なら知っていて当たり前とバカにされないように、日本三大銘茶について私と一緒に勉強していきましょう!
日本三大銘茶とは?
日本三大銘茶とは、静岡茶・宇治茶・狭山茶のことをさし、
この3つのお茶は昔からよく次の言葉で表されます。
「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」
お茶の色の鮮やかさは静岡県の静岡茶が抜きんでており、香りは京都の宇治茶が他県のお茶をおさえ、
味といえば埼玉県の狭山茶が一番である。ということを表した言葉です。
この3つのお茶は古くから三大銘茶として日本人に愛されてきました。
まずは3つのお茶について、過去から紐解いていきましょう!
歴史を紐解く
静岡県、京都府、埼玉県はそれぞれが伝統ある一大産地でした。
まずはそれぞれのお茶の歴史をみていきましょう!
静岡茶
静岡茶は静岡茶としては存在しておらず、静岡県のなかでも名称がいくつかあります。
川根茶・本山茶・天竜茶・掛川茶・牧之原茶などです。
それでは数多くの種類がある静岡茶の歴史を振り返ってみましょう。
静岡茶のはじまりは、鎌倉時代にさかのぼります。
鎌倉時代に宋へ留学していた僧侶が茶種を持ち帰り、現在の静岡市足久保に栽培したのが始まりです。
今川家・徳川家の時代に両家の御用茶として発展し、開国と同時に日本茶の輸出が開始されました。
明治時代には、多くの武士やその家族が江戸から静岡へ移住し、茶園開拓がはじめられ、
その結果それまで日本茶生産量が全国3位だったのが、一躍1位になりました。
徳川ブランドと生産量1位は静岡茶が日本茶の代表として銘を打ったのです。
現在の静岡茶は担い手の高齢化に伴う茶園面積の減少などによって苦しい環境が取り巻いています。
一番茶の時期を逃すと価値が付きにくいという商売条件も相まっており、人手不足は喫緊の課題になっています。(詳しくはこちら)
宇治茶
宇治と言えば抹茶を連想される方も多いと思いますが、もともとは宇治茶として全国有数の日本茶です。煎茶としても歴史のある宇治茶について、歴史を振り返ってみましょう!
宇治茶のはじまりは、鎌倉時代に栄西から茶種をもらいうけた明恵が宇治に伝えたのがはじまりです。
鎌倉時代から室町時代にかけ宇治茶が公家の間での贈呈用として扱われてきたことで知名度があがり、
徐々に宇治茶の品格があがっていきました。
戦国時代以降になると、千利休の茶の湯文化が花開くことで宇治茶の名はさらに世間へ広まっていったのです。
今では茶畑で小さなファンのついた機械を多く見ることができると思いますが、あの設備は霜から茶葉を守るための機械で、宇治のお茶の産業が発展してきたおかげで生まれた機械なのです。
詳しくは以下のURLにも歴史と現代に紡がれる技術や機械について解説されていますので、ご参照ください。
(参考URL:宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局)
(参考URL:宇治市公式HP)
狭山茶
狭山茶の歴史は日本の宗教である天台宗が大きく影響しています。
天台宗の儀式では平安時代からお供えものとして茶を使うことがありました。
この儀式のお茶を確保するため自給自足の茶栽培がはじまったそうです。
狭山茶と呼ばれるようになったのは実は明治以降の近代に入ってからです。
輸出目的で栽培されていたお茶ですが、実は中間業者に粗悪な茶と混ぜられる嫌がらせや、マージンを抜かれるなど不利益を被ってきました。
そこで茶業者同士が集まり、中間業者を通さない会社として「狭山会社」が設立されました。
これによりブランド価値を高めるためお茶の名称も「狭山茶」に統一し、一大産地として全国に名を轟かすこととなります。
狭山茶の歴史についてより詳しく知りたい方はぜひ↓のリンクをご参照ください。
(参考URL:入間市博物館)
三大銘茶の特徴
では静岡茶・宇治茶・狭山茶の特徴をそれぞれまとめていきましょう!
静岡茶
静岡茶は南アルプスがそびえる県北から、ミネラルをたっぷり含んだ大井川・安倍川の流域付近の県南まで大規模に日本茶が栽培されています。そんな広大な日本茶栽培によって静岡県では、数多くの銘柄の日本茶を栽培・加工・販売をしています。
たくさんの種類がある静岡茶ですが、今回は静岡のお茶として一般的な特徴をもとにまとめていますのでご了承ください。
静岡茶といえば、一般的に「深蒸し煎茶」として有名です。
その理由は栽培地が山間部ではなく平野部で作られていることに由来します。
平野部は山間部と違い気温差がほとんどありません。
その結果日光を浴びる時間が長くなり、茶葉の成長とともに苦み成分を多く含むこととなります。
そんな茶葉の厚みと苦み成分の弱点を克服するため、深蒸し製法が生まれました。
茶葉を深蒸しにすることで、味がしっかりと抽出され、
「深みのある芳醇な香りとコクのある味わい」に表現される特徴を味わうことができます。
深みとコクはしっかりと日を浴び育てられ栄養をため込んだ茶葉だから感じることができる味わいです。
ぜひお茶としての深みを存分に味わってみてください。
宇治茶
宇治茶は多くが浅蒸し茶で製造されており、黄色に近い明るい水色で濁りが少ない澄んだ色が特徴です。その見た目とは打って変わって、甘味やうま味がしっかりと感じられる深い味わいと爽やかな香りがクセになります。
なぜ静岡茶と違い、製造方法で浅蒸しが選ばれているかというと、茶葉の栽培方法に大きな違いがあります。
宇治茶は「覆下栽培」を採用し、新芽の育成中に遮光資材を用いて一定期間光を遮断しています。
この光の遮断により光を浴びる量を減らし、茶葉の苦み成分を生成させずに甘味を多く含んだ茶葉を生み出しています。
狭山茶
狭山茶の特徴として、製造工程の仕上げの工程で行われる「狭山火入れ」による独特の香ばしさがあります。「狭山火入れ」とはお茶製造のなかで茶葉の味や香りを向上させつ工程において、通常よりも高温で火入れすることです。
また茶産地としては冷涼な気候条件のもとで育つことで肉厚な茶葉が生まれ、この肉厚な茶葉を用いていることで甘くて濃厚なコクのある味わいを楽しめます。
さいごに
これまでご紹介した内容を一読していただければ、日本三大銘茶がどんな歴史を持っているのか、
またどんな特徴があり、現在の扱われ方も理解できたと思います。
もし日本三大銘茶について、「知らなかったよ~」という方がいましたら、ぜひ一度どれでもいいので茶葉を買って試してみて下さい!
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