日本茶といっていも本当に数多くの種類がありますよね。産地が違う、製造方法が違う、摘み取り時期が違う、お茶にする茶葉の部位が違うなど千差万別です。
今回は数多くある日本茶の種類のなかでも特に曖昧な理解になっている「深蒸し茶」と「浅蒸し茶」について徹底解説します。この記事を見るとあなたはお茶屋さんで深蒸し茶と浅蒸し茶でどちらを買うかを悩むことはなくなることでしょう!
深蒸し茶とは?
深蒸し茶とは簡単にまとめると煎茶製造工程の「蒸す」という時間を長くした煎茶のことです。
この蒸し時間の長短でお茶の味・風味が全く違うものになります。
その違いについて、深堀していきましょう!
深蒸し茶の特徴
深蒸し茶は煎茶製造過程の中の「蒸す」工程を1分~3分行ったものを指します。
一般的な煎茶の蒸し時間が30秒~40秒程度であるので、長い間高温の蒸気で覆われていることが分かります。
そもそも「蒸す」という工程は、茶葉の酸化を止めることと、摘みたて茶葉がもつ青臭さ抑えるために行っています。
この蒸す時間が長いことで他の煎茶と比べ以下の特徴があります。
・渋みが少なく、コクが深いものが多い
・水色は濃い色が多い
・丸みのある香りが特徴
・浅蒸しに比べ茶葉が細かい
つまり、まろやかさとコクの味わい深さのキーとなるポイントが研ぎ澄まされているのです。
また長い時間茶葉が蒸されたことで、茶葉の細胞が脆くなっており、お茶を淹れた時に煎茶では抽出できなかった栄養成分も摂取できる可能性が高まっています。
なぜ生まれたのか?
深蒸し茶の誕生は日本のお茶処である静岡県牧之原大地で生まれたと言われています。
日本には古くから朝霧のでる山々の川沿いで作られるお茶が最も良いものとされていました。
そんな中、寒暖差があまりない平地である牧之原大地で作られたお茶は渋みと苦みが強くなかなか一般受けしませんでした。
戦後の不況から日本が立ち直り、高度経済成長期が始まったことで日本茶の需要が高まるにつれ、お茶農家さんは「どうすればより多くの人に、牧野原のお茶を飲んでもらえるか?」を模索し始めました。
そんな苦みと渋みが強いお茶をどうにかしようと思考錯誤した先に生まれたのが「深蒸し茶」なのです。
おすすめの飲み方
深蒸し茶は茶葉の細胞が脆くなっている為、短時間の抽出でお茶本来の味と風味をさっと引き出してくれます。逆に玉露のような長時間の抽出には向いておらず、苦み成分が余分に出てしまいます。
では、具体的な淹れ方を説明します。
①道具を準備する。
・茶葉:3g / 1人前
・急須:100~150ml容量のもの
・湯呑:小ぶりな湯飲みがおすすめ
・湯冷まし:ドリップカップでもOK!
②急須を温める
③茶葉を急須に入れる
④70℃のお湯を茶葉の入った急須に入れる
⑤蓋を閉めず、30秒待つ
⑥湯呑に移し、飲んでみましょう!
※ちなみに・・・
ちなみになぜ平地で作られら茶葉は苦みや渋みが強いかというと、
茶葉は日光を浴びれば浴びるほど成長し、その成長と相まって茶葉の厚みも分厚いものへと成長します。また日光を十分に浴びると、苦みの元であるカテキンが多く作られることも影響しています。
分厚ければ通常の蒸し時間では足りず、青臭さも残り、カテキンの苦み成分も残ってしまうのですね。
浅蒸し茶とは?
浅蒸し茶とは簡単に説明すると、通常の煎茶より蒸し工程を短くしたお茶です。
煎茶の蒸し時間が30秒~40秒ですが、浅蒸し茶は10秒~30秒と非常に短いです。
蒸し時間の短さがお茶に与える影響について解説していきます。
浅蒸し茶の特徴
浅蒸し茶と比べ異なる点がいくつかあります。
茶葉の形状、水色、味・香り、成分それぞれが違います。
どちらが優れているではなく、それぞれの良さがあることを念頭に見てください。
茶葉の形状
茶葉の見た目は蒸し時間によって変わります。
蒸し時間が長い深蒸し茶は茶葉の細胞が脆くなり細かいものが多いですが、蒸し時間が短い浅蒸し茶は茶葉の形を保ち、細くとがっているものが多いです。
水色
お茶を淹れた時の色にも違いがあります。
浅蒸し茶は金色ががった薄い黄緑色をしており、透き通ったものが多いです。
一方深蒸し茶は深みのある緑色で、濁りがあるものが多いです。
味・香り
清涼感がありつつ、渋みをくっと感じるのが第一印象でしょう。
その後茶葉本来の青い香りと旨味もしっかり感じることのできる高級感溢れるお茶です。
なぜ生まれたのか?
近年煎茶の主流となってきている深蒸し茶に比べ、少々影が薄くなっている浅蒸し茶ですが、決して深蒸し茶に劣るわけではありません。
そもそも製造に使用する茶葉が違います。
深蒸し茶に使用する茶葉が肉厚で苦みや渋み成分であるカテキンを多く含んでおり、一般受けしにくいことから深蒸し茶が生まれました。しかし本来良質な茶葉の生産地としての定義は朝霧が発生しやすい山間部で栽培されている茶葉で、日照時間の短さのおかげで渋みよりも甘味やうま味成分を多く含み茶葉自体も繊細なものとういものです。
繊細な茶葉だからこそ、短い蒸し時間でしっかりとした風味や香りを楽しめるのです。
おすすめの飲み方
浅蒸し茶のすっきりとした清涼感のある味わいは、急冷した飲み方が非常にマッチします。
茶葉本来の清涼感と氷によって急冷した時のキリリとした切れ味が癖になります。
以下に淹れ方をまとめていますのでご覧ください。
①道具を準備する。
・茶葉:3~5g / 1人前
・急須:100~150mlの容量
・コップ:耐熱素材のコップがベター!
・湯冷まし:ドリップカップでもOK!
・氷:水道水から作られた氷ではなく、なるべく市販の純水で作られた氷を使用してください。
②急須を温める
③茶葉を急須に入れる
④70℃のお湯を茶葉の入った急須に入れる
⑤蓋を閉めず、30秒待つ
⑥氷を入れたコップへ⑤のお茶を注ぐ!
※ちなみに
似たお茶に「浅煎る茶」があります。
「煎る(いる)」とは茶葉を火であぶることを指し、近しいものでほうじ茶があたります。
ほうじ茶はさらに強火で製造することから厳密には違いますが、お茶の知識として覚えておくとあなたの人生のプラスになるでしょう!
さいごに
深蒸し茶と浅蒸し茶の違いをまとめてきましたがどうだったでしょうか?
あなたのお茶を購入する際の手助けとなっていれば幸いです。
また当サイトでは、おすすめのお茶を紹介しています。
その中には深蒸し茶のものや、浅蒸し茶のものもあります。
あなたにマッチする一杯を見つける手助けになればと思い記事を作成していますので、
ぜひこちらもご覧ください。
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