京都の宇治と聞けばみなさんは抹茶をイメージするのではないでしょうか?
ですが宇治は抹茶だけはなく、煎茶も有名なのです。
今回は日本茶生産量上位の京都府のお茶、宇治茶について生まれた歴史から味の特徴まであますことなくご紹介します!
ぜひ最後までご覧ください。
宇治茶ははじまりは・・・?
日本の有名茶葉として認知されている京都府の宇治茶ですが、あなたは宇治茶についてどこまで知っていますか?宇治茶のはじまりと現在の状況をまとめましたので、一緒に勉強しましょう。
宇治茶の歴史①:~宇治茶のはじまり~
ではまずは宇治茶のはじまりを振り返ってみましょう!
私も驚いたことなんですが、じつは宇治茶の認知度はその当時そんなに有名ではなかったそうです。
そもそもの京都のお茶のはじまりは、鎌倉時代に中国へ留学していた僧(栄西)から茶種をもらい受け宇治に伝えたのがはじまりだそうです。
しかしこの当時の一番のお茶は宇治のお茶ではなく、京都の栂尾(とがのお)のお茶が一番とされていました。
そこから時代は進み、室町時代になると位の高い公家の人間で宇治茶が贈り物として扱われだしました。つまり贈り物として扱われるくらい宇治茶の評価があがってきたのです。
その背景には、茶葉の栽培方法に革新的な技術が生まれたことが関係しています。
このころの宇治では、茶園全体に葦や藁で覆いをかけ遮光して栽培する「覆下栽培」が生まれました。
茶葉を覆うことで、茶葉の成長時に増加する苦み成分であるカテキンを抑制し、一方でうま味成分のアミノ酸を増やすことができる画期的な栽培方法なのです!
その後の時代では茶の湯文化が花開くことにより、宇治茶は抹茶としての製造に力を入れ、その地位をかっこたるものとしていきました。
なんと江戸時代には幕府から認められ将軍に献上されるまでになってそうです。
宇治茶の歴史②:~技術革新のはじまり~
17世紀の近代に入ると、宇治茶は日本茶文化をさらに飛躍させる製法を生み出します。
それこそ私たちにもっともなじみのある「煎茶」です!
18世紀になると、蒸した茶の新芽を手で揉んで乾燥させる「宇治製法」が生み出されました。
「宇治製法」の具体的な工程は宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局さんのサイトが分かりやすくまとめているので、ぜひご覧ください。
それこそ現代の「煎茶」の基本的製法になります。
また19世紀になりと「覆下栽培」と「宇治製法」の合わせ技により、日本茶の最高品である「玉露」が生み出されました。
「玉露」についてはこちらの記事でご紹介していますので、気になる方はぜひ見てください。
この当時に花ひらいた技術はもうひとつあります。
それは茶葉の品質や味を一定に保つ「ブレンドの技術」です。
お茶は栽培された環境(土壌、日光、水質)により味が変わります。
そのため加工品としての煎茶を世に流通させるためには、味に偏りがあってはダメなのです。
そこで生み出された技術が多様な栽培条件で育った茶葉を集め、味に偏りがないように複数の茶葉を組み合わせ販売するブレンドが必要不可欠となったのです。
私たちが日常的に飲んでいるペットボトルの緑茶で、容器ごとに味が違うなんてことはないですよね?
それは、昔から培われた技術が今に息づいている証拠なのです。
宇治茶の歴史③:~時代を作った宇治~
20世紀になると、宇治茶はさらに躍進します。
日本茶の生産量が増加するにつれ、今までの伝統的な手作業では人手が足りなくなってしまったのです。
そこで生まれたのが、製茶機械です。
この製茶機械は、国内に流通する茶葉の品質を落とさないように「手揉み」の操作を完璧にコピーしたものとなっています。人の技術を機械に導入するということを考えると、大変な苦労があったのだなと感じることができます。
また抹茶を生産するうえで必要不可欠な「茶臼で挽く」という作業を、自動化したことで抹茶の流通量が著しく増加したことも革新的なできことでした。
抹茶の流通量が増えたことは、様々なところで私たちに恩恵をもたらしてくれました。
例えば、抹茶のコラボ商品の開発です。
抹茶ラテ・抹茶ソフトクリーム・抹茶ケーキ・抹茶を活かした創作料理など・・・
普段の生活で抹茶に出会う回数は劇的に増えたはずです。
茶製造の機械化による恩恵は生産者だけでなく、消費者にもうれしいできごとだったのです。
宇治茶の特徴とは・・・?
さて宇治茶の歴史を振り返ったわけですが、次は宇治茶の特徴について解説します。
ただし今回は煎茶としての宇治茶をご紹介します。
抹茶については別の記事でご紹介しますので、そちらをご覧ください。
宇治茶はどこで作られてるの?
宇治茶の生産はじつは、京都府だけではないのです。
歴史・文化・地理などが複雑に絡み合っているため、京都府の他に
奈良県・滋賀県・三重県産のお茶も宇治茶となることがあります。
ただし、京都府さんのお茶が優先されるとのことです。
(京都府茶業会議所さんより)
宇治茶の味は・・・?
宇治茶はその製造方法が一般的な日本茶の蒸し時間と比べ短いです。
この特徴により宇治茶は、淹れたはじめの味としてはキレのある渋みを感じ、徐々に甘さを感じるようになります。多煎で飲んでいると最後の方は、清々しいすっきりとした味わいに変わっていきます。
水色は蒸し時間が短いということもあり、浅蒸しに近くやや黄金色で透明感のある色をしています。
香りについてはクセの無い、気品ある香りを持っています。
宇治茶のおすすめの飲み方とは・・・?
宇治茶は湯量を少量にし、回数を複数に分けて飲むことをおススメします。
1回目のキレのある渋みから、徐々にまろやかな甘味を感じることをメインにしましょう。
多煎で飲む時のポイントは、道具にあります。
私は多煎で飲む時は以下の2つの道具を多用しています。
・130mL容量の急須
・100mL容量の湯のみ
これは一回ごとに抽出したお湯を使い切ることを目的としています。
大きな急須で茶葉を長時間抽出すると、苦み成分を多く抽出してしまいます。
適切な湯量と適度な抽出時間が宇治茶を楽しむコツです!
宇治茶のおすすめ商品!
私がおすすめする宇治茶をご紹介します。
清風 / 宇治茶 / 伊藤久右衛門
伊藤久右衛門さんは京都の宇治に本店を構えるお茶屋さんです。
江戸時代から続くお茶屋さんであることから、伝統の技術を連綿と受け継ぎ、豊かな大地で育った茶葉をさらに美味へと昇華しています。
一度口にするならぜひ、伊藤久右衛門さんの清風をお試しください。
さいごに
日本でも有名なお茶である宇治茶についてご紹介してきました。
宇治茶は味としての魅力だけでなく、その生まれた歴史や茶業界への貢献が素晴らしいと私は思いました。
時代や製法を知ることで、味の深みや香りの芳醇さを楽しむことができるとでしょう!
ぜひ一度、煎茶としての宇治茶もご自宅で試してみてはどうでしょうか?
当サイトでは、日本全国の高級煎茶についてご紹介しています。
有名な日本茶から地方の珍しい日本茶まで、余すことなくご紹介していますので、
気になる方はぜひこちらをご覧ください。
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