※本記事にはアフィリエイト広告を含みます
導入
日本茶を贈ろう、というところまでは決まった。でも、そこから先の基準がない。
いくらのものを選べばいいのか。のしには何と書けばいいのか。相手が急須を持っていなかったらどうするのか。ギフトサイトを開いても「人気ランキング」が並ぶばかりで、知りたいのはそこではない、と思ったことはないでしょうか。
先にお断りしておきます。一福は、自分が飲んでいないお茶を「おすすめ」とは書きません。
私は今オランダに住んでいて、この記事に出てくる老舗のお茶を、まだ手に取れていません。ですから味の保証はしません。 代わりに書けることが3つあります。
- のしと予算の作法:味覚ではなく事実なので、飲んでいなくても正確に書けます
- ギフトとしての仕様:のしの表書きを指定できるか、木箱に入るか、配送日を指定できるか。買う側が本当に困るのはここです
- 実際に日本茶を人に贈って、喜ばれたり、滑ったりした話:私はオランダの同僚に煎茶と抹茶を渡して、はっきり反応が分かれるのを見ています
最後のひとつが、この記事のいちばん長いセクションになりました。海外に日本茶を送る話は、ランキング記事には書けないところだと思っています。
【結論】シーン別・日本茶ギフトの早見表
急いでいる方のために、先に結論を置きます。
| シーン | 予算の目安 | 表書き | 水引 | 選ぶときの決め手 |
|---|---|---|---|---|
| 敬老の日 | 3,000〜5,000円 | 御祝/敬寿 | 紅白・蝶結び | 飲みやすさと、量の少なさ |
| お中元 | 3,000〜5,000円 | 御中元 | 紅白・蝶結び | 冷茶にできるか |
| お歳暮 | 3,000〜5,000円(上司・取引先は5,000円〜) | 御歳暮 | 紅白・蝶結び | 老舗であること、箱の格 |
| 香典返し | いただいた額の半分〜3分の1 | 志(全国)/満中陰志(主に関西〜西日本) | 黒白または黄白・結び切り | のしを付けない「掛け紙」、挨拶状 |
| 母の日・父の日 | 3,000〜5,000円 | 御祝 | 紅白・蝶結び | 相手の好みに寄せる |
| 内祝い・お礼 | いただいた額の半分〜3分の1 | 内祝/御礼 | 紅白・蝶結び | 気を遣わせない価格 |
| 海外の家族へ | 送料を除いて45ユーロ以内(オランダの場合) | — | — | 英語表記・相手の水・関税 |
金額は日本郵便および百貨店各社が公開している目安をもとにしています。地域や間柄で幅があるので、絶対の正解ではありません。
弔事の行だけ、他と書き方が違うことに気づかれたでしょうか。弔事では「のし」を付けません。 ここは間違えると取り返しがつかないところなので、あとで一章を割いて説明します。
日本茶がギフトに向いている理由と、向いていない場合
向いている理由
消えものであること。 使えばなくなり、相手の家に物が残りません。好みが分からない相手にも贈りやすく、弔事で選ばれるのも同じ理由です。
相手を選ばないこと。 宗教、年齢、性別、体質。お茶はそのどれにも、ほとんど引っかかりません。アルコールのように飲めない人がいるわけでもなく、生菓子のように日持ちを気にする必要もありません。
慶事にも弔事にも使えること。 これができる品物は、実はそう多くありません。
向いていない場合
ただし、お茶が最善でない場面もあります。ここを書かないランキング記事が多いのですが、贈ってから気づくと遅いので、先に書いておきます。
相手が急須を持っていない場合。 これが一番多い落とし穴です。飲む手段がなければ、どんな茶葉も戸棚で眠ります。ティーバッグか水出し用のパックを選ぶか、茶器ごと贈ってください(→ 日本茶は「茶器」で化ける。お盆・急須・湯吞みの3つだけこだわってみた話)。
相手がコーヒー派の場合。 「お茶も飲むだろう」は、贈る側の希望的観測であることがあります。
大量に贈ろうとしている場合。 これは次の章で詳しく書きます。お茶は、多く贈るほど喜ばれる品物ではありません。
日本茶ギフトで失敗する3つのパターン
① 量が多すぎる
ギフトの予算を上げようとすると、多くの人は「量を増やす」方向に行きます。100g入りを3本、というような組み合わせです。
しかしお茶は、開封してからの劣化が速い。 密閉して冷暗所に置いても、香りが落ちはじめるまでの実用的な目安は1ヶ月ほどです。300gを贈られた人は、その間に300g飲みきらなければなりません。ひとりで飲むなら、まず無理です。
同じ5,000円なら、100g×3本より、50g×2本で単価の高いものを選ぶ。 予算を上げたいときは、量ではなくグレードか、箱の格を上げてください。
② 相手の淹れる環境を考えていない
急須があるか。これは前の章で触れました。それに加えて、湯温と水があります。
煎茶は熱湯で淹れると渋くなります。相手が普段紅茶しか淹れない人なら、沸騰したお湯を注ぐのが自然な動作です。そこで一度渋いお茶を飲むと、「このお茶はおいしくない」という印象で終わってしまう。淹れ方を一言添えるだけで、結果が変わります(→ 高級煎茶を最大限に堪能できる淹れ方とは?)。
そして水。私自身が実験して、想像より差が大きいことに驚いた項目です。海外に贈る場合はとくに効くので、後半でデータとともに書きます。
③ のしを間違える
慶事と弔事で、掛ける紙が違います。そして、弔事に「のし」を付けてはいけません。
「のし」とは、掛け紙の右上にある、あの細長い飾りのことです。紙全体の名前ではありません。ここが多くの人の認識とずれているところで、間違いの原因になっています。
由来をたどると理由がはっきりします。高島屋の解説によれば、「のし」は「のし鮑(あわび)の略」で、熨斗を付ける習慣は「神に生ぐさもの(魚・肉)を供えたことからきています」。現在の折り熨斗の中にある黄色い紙片が、本来の熨斗鮑を表しています。
つまり、のしは生ぐさもの=魚の象徴です。弔事に付けない理由は2つあると高島屋は説明しています。ひとつは「生ぐさものを断つ」から。もうひとつは、引き伸ばしたくないから(慶事では逆に「引き伸ばす」という意味で使われます)。
だから弔事のときは、熨斗が印刷されていない紙を使い、それを「のし紙」ではなく「掛紙(かけがみ)」と呼びます。三越伊勢丹の整理では、掛け紙が上位の概念で、そのうち熨斗が付いているものが「のし紙」、という関係になります。
注文フォームで「のし」の欄しかない店もありますが、弔事用の掛け紙に対応している店なら、必ずその選択肢があります。弔事で贈るときは、店が弔事用の掛け紙に対応しているかを先に確認してください。
日本茶ギフトの予算相場【相手別】
| 贈る相手 | 目安 |
|---|---|
| 両親・義両親 | 3,000〜5,000円 |
| 上司 | 3,000〜5,000円 |
| 取引先・ビジネス | 5,000円〜(8,000円以上も珍しくない) |
| 親戚・知人 | 3,000円前後 |
| 友人 | 2,000〜3,000円 |
日本茶のギフトは、3,000円と5,000円のあいだに商品が集中しています。 後半で調べた山本山の品揃えを見ても、この帯にもっとも選択肢がありました。迷ったらこの範囲から選べば、外れにくいということでもあります。
高すぎることの問題
1万円を超えると、相手に返礼の負担を感じさせます。 ギフトには「同じくらいの額を返さなければ」という無言の圧力があり、高価なものほどそれが強くなります。
もうひとつ、高いお茶ほど淹れる条件を選ぶという問題もあります。玉露や高級な一番茶は、湯温と浸出時間を合わせないと持ち味が出ません。普段づかいの相手に最高級品を贈ると、「よく分からないまま飲み終わった」で終わることがあります。
価格帯と味の関係については、別の記事で書いています(→ 日本茶において高級品と一般品の違い)。
シーン別の選び方
敬老の日に贈る
2026年の敬老の日は9月21日(月)です。 9月の第3月曜日と祝日法で決まっているため、毎年動きます。
ここでひとつ、意外と間違えられているものがあります。9月15日は「老人の日」で、敬老の日とは別のものです。
内閣府の資料によると、2001年の老人福祉法改正で、9月15日が「老人の日」、9月15日から21日までが「老人週間」と定められました。ハッピーマンデー制度で敬老の日が月曜に移動することになったとき、9月15日という日付を残すために設けられたものです。敬老の日は国民の祝日、老人の日は老人福祉法にもとづく啓発の日で、法律上の位置づけが違います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算 | 3,000〜5,000円 |
| 表書き | 御祝/敬寿/祝 敬老の日 |
| 水引 | 紅白・蝶結び |
| 決め手 | 飲みやすさと、量の少なさ |
選ぶ基準は「飲みやすさ」です。 渋みの強い高級茶より、湯温がずれても破綻しにくいお茶のほうが、日常的に楽しんでもらえます。深蒸し茶は短時間でしっかり出るので、この点では扱いやすい部類です(→ 深蒸し茶と浅蒸し茶の違いとは?)。
量は控えめに。 高齢のご夫婦やおひとり暮らしなら、100gでも1ヶ月では飲みきれないことがあります。
孫と連名にする場合は、親の名前の左隣に子どもの名前を書くのが一般的です(高島屋)。
お中元に贈る
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算 | 3,000〜5,000円 |
| 表書き | 御中元(時期を過ぎたら暑中御見舞→残暑御見舞) |
| 水引 | 紅白・蝶結び |
| 決め手 | 冷茶にできるか |
時期には地域差があり、しかも出典によって書いてあることが違います。 ここは正直に幅で書きます。
| 出典 | 関東 | 関西 |
|---|---|---|
| 日本郵便 | 7月1日〜7月15日 | 7月15日〜8月15日 |
| 高島屋 | 6月下旬〜7月15日頃 | 7月上旬〜8月15日頃 |
| 三越伊勢丹 | 7月1日〜7月15日 | 8月1日〜8月15日 |
関東は7月上旬から中旬、関西は7月中旬から8月中旬、というのがおおまかな共通点です。ただし北陸は同じ県内でも差があり(金沢は7月1日〜15日、能登は7月15日〜8月15日)、九州は8月1日〜15日、沖縄は旧暦で動きます。迷ったら、相手の地域の慣習に合わせるのが安全です。
時期を過ぎたら表書きを変えます。立秋(8月7日頃。高島屋は8月8日か9日としています)までは暑中御見舞、それ以降は残暑御見舞。残暑御見舞をいつまで出せるかも出典で割れていて、日本郵便は「9月7日頃まで」、三越伊勢丹は「8月下旬まで」としています。10日ほどの差があるので、早めに出しておくに越したことはありません。
夏に贈るなら、水出しできるお茶が使いやすい選択です。冷蔵庫に入れておくだけで飲めるので、暑い時期に急須で淹れる手間がかかりません。
お歳暮に贈る
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算 | 3,000〜5,000円(上司・取引先は5,000円〜) |
| 表書き | 御歳暮 |
| 水引 | 紅白・蝶結び |
| 決め手 | 老舗であること、箱の格 |
日本茶ギフトが最も動くのがこの時期です。
時期は、日本郵便が12月1日〜12月20日(関東は12月10日頃から、関西は12月13日頃から)、高島屋と三越伊勢丹は12月上旬から12月25日頃まで、としています。終わりの時期に5日ほどの差があります。 記事としては「12月上旬から20日頃まで(25日頃までとする店もある)」と書いておくのが実態に近いでしょう。
年内に間に合わなかった場合は、表書きを変えて年明けに贈ります。御年賀は松の内まで——ただしこの松の内も地域で違い、三越伊勢丹によれば関東は1月7日まで、関西は1月15日まで。それを過ぎたら寒中御見舞(立春の前日まで)、さらに過ぎたら余寒御見舞になります。
お歳暮は一年の締めくくりの贈り物なので、中身より箱の印象が効きます。 木箱入りや化粧箱入りを選ぶ意味があるのは、このシーンです。
和菓子と組み合わせるのもこの時期らしい選び方です。お茶に合う和菓子については、別の記事にまとめています(→ 日本茶にあうお茶菓子って何があるのだろうか?)。
香典返し・法要に贈る
ここは他のセクションと文体を変えます。急いで選ばなければならない状況で読まれることが多いところなので、順を追って、静かに書きます。
なぜお茶が選ばれてきたのか
高島屋、松坂屋名古屋店とも、香典返しにふさわしい品としてお茶を挙げています。共通して説明されているのは、「使ったり食べたりして無くなるもの」=消えものが適している、という点です。日持ちがして、軽く、価格帯の幅が広く、相手を選ばない。実務的な理由としては、これで十分に説明がつきます。
ただし「なぜお茶なのか」の理由には、諸説あります。 葬儀ガイドの吉川美津子氏(社会福祉士)は、実用面に加えて「茶飲み友達」という言葉が示す親しい間柄や、日本茶の伝来に仏教の高僧が関わっていることから「お茶を通じて仏縁をいただく」という考え方を挙げています。一方、実用面だけを説明していて仏教との関わりには触れていない解説もあります。
調べた範囲では、統一された定説は確認できませんでした。 よく言われる「不祝儀を消す」という説明も、今回参照した出典のどれにも見当たりませんでした。ここは断定せずに書いておきます。
金額
いただいた額の半分(半返し)から3分の1が目安です。これは参照した4つの出典が一致していました。
高額の香典をいただいた場合は、比率にこだわらなくてよい、と三越伊勢丹は説明しています。葬儀にはまとまった費用がかかるものなので、無理に半分を返す必要はない、という考え方です。
近年は葬儀当日にお返しをする「当日返し(即日返し)」も行われています。この場合は一律2,000〜3,000円程度が一般的、と全日本冠婚葬祭互助協会は説明しています。
時期
四十九日の忌明け後に贈るのが基本です。三十五日で忌明けとする地域もあります。神式の場合は五十日祭の後になります。
高島屋は、松の内の期間は避けるよう案内しています。
表書き
| 表書き | 使われる地域・宗教 |
|---|---|
| 志 | 全国・全宗教で使えます(仏式・神式・キリスト教式) |
| 満中陰志/忌明志/中陰志 | 関西から西日本(北陸を含めるとする出典もあります) |
| 茶の子 | 中国・四国・九州(瀬戸内海側、と限定する出典もあります) |
| 七七日忌明志・忌明志 | 名古屋(「○○家」と表記します) |
| 五七日忌明志 | 岐阜(三十五日で忌明けとする場合) |
| 偲び草/偲草 | 神式・キリスト教式 |
迷ったら「志」です。 全国どこでも、どの宗教でも通用します。
ひとつ注意点があります。「粗供養」は、香典返しの表書きとは別のものとして説明されていることがあります。 ある解説では、「葬儀や法要などで供養していただいた方に贈る品」が粗供養、「いただいた香典へのお返し」が満中陰志、と明確に区別されています。法要の引き出物や当日の返礼品と、香典返しは、分けて考えたほうがよさそうです。
水引の色
ここは地域差が大きく、「西日本は黄白」と単純化できません。
| 出典 | 記述 |
|---|---|
| 高島屋 | 東日本は黒白、西日本は黄白。ただし山陰は黒白 |
| 大丸松坂屋 | 黒白は仏事全般、黄白は関西から西日本と北陸などの一部 |
| 松坂屋名古屋店 | 東海は、一周忌前が黒白、それ以降が黄白 |
| 三越伊勢丹 | 黒白または双銀が一般的。地域により黄白 |
山陰は西日本でありながら黒白、東海は法要の時期で切り替わる。例外のほうが目立ちます。
結び方はいずれも結び切りです。二度と繰り返さないように、という意味で、ほどけない結び方を使います。
最終的には、葬儀社か、地元の百貨店の外商に確認するのが確実です。 ここは全国共通の正解が存在しない領域です。
のしは付けません
前述のとおりです。弔事では熨斗の付いていない掛け紙を使います。注文時に「弔事用」「仏事用」の指定があるか確認してください。
内のしにします
香典返しは配送になることが多いため、内のし(品物に直接掛け紙をかけ、その上から包装する)が基本です。掛け紙が配送中に傷むのを防ぐ意味があります。
名前の書き方
香典返しは喪主の姓のみを書きます(名古屋では「○○家」と書く慣習があります)。
弔事の墨は薄墨を使います。高島屋は理由を2つ挙げています。「悲しみの涙で墨が薄れている」という意味と、「悲しみは早く薄らいでほしい」という意味です。
挨拶状
添えるのが基本です。 全日本冠婚葬祭互助協会は「挨拶状を添えて」、三越伊勢丹は「必ず添えて」と説明しています。一方で「必ずではない」とする解説もあります。奉書紙に薄墨で印刷し、封筒に入れるのが一般的な形です。
挨拶状に対応している店を選ぶと、この工程がまとめて済みます。
内祝い・お礼・引越しの挨拶に贈る
軽く触れておきます。
内祝いは、いただいたお祝いの半分から3分の1でお返しします。表書きは「内祝」、水引は紅白の蝶結び。ただし結婚と快気祝いは結び切りです(繰り返さないほうがよいことなので)。
引越しの挨拶は、500〜1,000円程度が相場です。ここは高額にすると相手が恐縮するので、あえて安いものを選びます。ティーバッグの小さな詰め合わせが使いやすい価格帯です。表書きは「御挨拶」。
ちょっとしたお礼なら、のしを付けずに、簡単な包装だけでも十分です。むしろ形式を整えすぎると、相手に「お返しをしなければ」と思わせてしまいます。
のし・表書き早見表【保存版】
ここまでの内容を一枚にまとめます。印刷するか、スクリーンショットで保存しておくと、注文フォームの前で迷わずに済みます。
| 用途 | 表書き | 水引 | のし | 内のし/外のし |
|---|---|---|---|---|
| お中元 | 御中元 | 紅白・蝶結び | あり | 配送は内のし |
| 暑中見舞 | 暑中御見舞 | 紅白・蝶結び | あり | 配送は内のし |
| 残暑見舞 | 残暑御見舞 | 紅白・蝶結び | あり | 配送は内のし |
| お歳暮 | 御歳暮 | 紅白・蝶結び | あり | 配送は内のし |
| 御年賀 | 御年賀 | 紅白・蝶結び | あり | 手渡しは外のし |
| 敬老の日 | 御祝/敬寿 | 紅白・蝶結び | あり | 手渡しは外のし |
| 内祝い | 内祝 | 紅白・蝶結び | あり | 内のし |
| 快気祝い | 快気祝 | 紅白・結び切り | あり | 内のし |
| 香典返し(全国) | 志 | 黒白・結び切り | なし(掛け紙) | 内のし |
| 香典返し(主に関西) | 満中陰志 | 黄白・結び切り | なし(掛け紙) | 内のし |
| 法要の引き出物 | 粗供養/志 | 黒白または黄白・結び切り | なし(掛け紙) | 外のし |
内のしと外のし
内のしは、品物に直接掛け紙をかけて、その上から包装します。外からは見えません。
外のしは、包装紙の上から掛け紙をかけます。表書きと名前が最初に見えます。
使い分けには、根拠の異なる2つの考え方があります。
ひとつめは、渡し方で決める考え方。 配送は内のし(掛け紙が配送中に傷まないため)、手渡しは外のし。大丸松坂屋と三越伊勢丹はこの説明をしています。
ふたつめは、意図で決める考え方。 高島屋は「お名前を広める、広く渡す場合は外のし/控え目にしたい、パーソナルに渡す場合は中のし」と説明しています。高島屋は「内のし」ではなく「中のし」という表記を使い、群馬県では持ち帰りの多くが外のしである、という地域差にも触れています。
実務としては、配送なら内のし、手渡しなら外のしを基本にして、「名前をはっきり知らせたい場面では外のし」という考え方もある、と覚えておけば足ります。香典返しは配送が中心なので、内のしが基本になります。
名前の書き方
高島屋の解説をもとにまとめます。
- 基本はフルネーム。目下の方に贈る場合は姓だけでも構いません
- 連名は目上の方を右から左へ、3名程度まで
- 4名以上は「〇〇一同」。「有志一同」とする場合は、全員の氏名を書いた紙を中に入れます
- 弔事は薄墨
- 四文字の表書きは「死文字」として避け、五文字にする慣行があります
老舗のギフト対応を、事実だけで比べる
ここから紹介する店の茶葉を、私はまだ飲めていません。 オランダに住んでいるためです。ですから味の保証はしません。
代わりに、ギフトとして使うときに本当に困る点——のしを指定できるか、木箱に入るか、配送日を指定できるか、海外に送れるか——を、公式サイトで調べて表にしました。味覚と違って、これは事実として確認できます。
山本山(国内のギフト・弔事に対応している)
1690年(元禄3年)創業。 初代嘉兵衛が江戸に店を構えたのが始まりで、株式会社としての設立は1941年です。
この店について、私が「老舗である」以上に具体的だと思っている事実がひとつあります。天保6年(1835年)、六代嘉兵衛徳翁が、宇治郷小倉の木下家において玉露を発明した——と公式の沿革に記されています。今わたしたちが玉露と呼んでいるお茶の出発点が、この店にあるということです。
文化13年(1816年)には一橋卿・幕府本丸の御用茶師となり、昭和22年(1947年)に海苔の販売を始め、昭和38年(1963年)に日本茶のティーバッグを発売しています。
ギフト対応(公式サイトで確認した事実)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| のし | あり・無料。 包装と名入れも無料 |
| 表書き | 指定できます。公式のマナーページに31種類を掲載(御中元・御歳暮・御年賀・暑中御見舞・残暑御見舞・寒中御見舞・御供・志・会葬御礼・偲び草・○回忌志・寿・御祝・内祝・快気祝 など) |
| 内のし/外のし | 選べます。 既定は内のしで、外のしを希望する場合は備考欄に記載します |
| 弔事用の掛け紙 | 対応しています。 のし紙と掛け紙を明確に区別して説明しており、水引は紅白・黒白・黄白、結び方は結び切りと蝶結び。「黒白5本結切」「黄白5本結切」を掲載し、用途一覧に弔事法要・香典返しを明記しています |
| 木箱 | 「宇治天下一」(宇治茶80g・5,400円税込)が木箱入り+専用手提袋 |
| 包装 | 無料。包装紙は「煎茶手引之種」の図版。手提げ袋は33円〜の有料 |
| 配送日指定 | できます。 お届け希望日と時間帯6区分(午前中/12-14/14-16/16-18/18-20/19-21)。出荷は2〜3営業日。注文後の日時変更はできません |
| 送料 | 全国一律600円、税込5,400円以上で無料(沖縄・離島は別途) |
| 海外発送 | できません。2024年11月より受付を停止しています |
| 挨拶状 | 無料オプションの「ご挨拶状」があります |
価格帯(税込)
| 商品 | 価格 |
|---|---|
| 選べるギフト | 2,160円〜 |
| 御抹茶「天下一」20g | 3,780円 |
| お茶海苔詰合せ | 3,240円 |
| 宇治天下一 80g | 5,400円(木箱+専用手提袋) |
| 玉露「上喜撰」100g | 5,400円 |
| 宇治小倉 手摘み玉露 30g | 10,800円 |
おおよそ2,000円台から10,800円、中心は3,000円から5,400円です。この記事の予算表とちょうど重なります。
この店が向いているシーン
弔事です。 弔事用の掛け紙に、黒白と黄白の両方で対応していて、表書きも自分で指定できて、挨拶状のオプションもある。この記事で説明した香典返しの作法を、一店舗のなかで完結できます。
お歳暮でも、木箱入りの商品があるので格を出しやすい。逆に、海外へは送れませんので、そこは後半のセクションで別の方法を説明します。
なお、公式サイトで確認できなかったこともあります。注文フォームで実際に選べる表書きの確定リスト(掲載されている31種類がそのまま選択肢になるかは不明)、配送日指定の可能な範囲、宇治天下一以外の高級茶の箱の仕様、ご挨拶状の文面の種類。このあたりは、注文前に店に直接確認してください。
和菓子と組み合わせる
お茶だけでは予算に届かない、あるいは少し華やかにしたい、というときは和菓子との組み合わせが定番です。お茶が主役になる和菓子について、単独のレビューを書いています(→ 「夢二の宵待草」は最中ではなかった)。
【海外へ】海外に住む家族・友人へ日本茶を送る
読んでいる方は、おそらく2種類に分かれます。日本にいて、海外に住む家族に送りたい方と、海外に住んでいて、現地の友人や同僚に贈りたい方。私は後者の立場でこれを書いていますが、考えるべきことはほとんど同じです。
そもそも、茶葉は国際郵便で送れるのか
まず、よくある心配から片付けます。
EUについては、日本産食品の輸入規制が2023年8月3日に全廃されました。 農林水産省の案内によれば、この日以降に到着する貨物から、放射性物質検査証明書と産地証明書が不要になっています。EU加盟国と北アイルランド、ノルウェー、アイスランドが8月3日、スイスとリヒテンシュタインが8月15日です。
つまり現在、EU向けに個人でお茶を送るのに、証明書の類は要りません。 東日本大震災のあと長く続いた規制なので、まだ必要だと思っている方が多い部分です。
次に、郵便の禁制品です。日本郵便が国・地域別に「国際郵便条件表」を公開しており、宛先国を選ぶと禁制品と条件付許容品の一覧が出てきます。オランダ宛の一覧を確認したところ、茶葉についての個別の記載はありませんでした(2026年8月時点)。条件付許容品として挙がっているのは、栽培用植物、球根類、播種用種子、切り花、切り枝、果物といった生きた植物や、肉・乳製品です。乾燥して加工された茶葉は、これらとは扱いが異なります。
ただし、規制は国ごとに違います。 ここは推測で埋められないところなので、調べ方を書いておきます。
- 日本郵便のサイトで「国際郵便条件表」を検索する
- 宛先の国を選ぶ
- 「禁制品」と「条件付許容品」の欄を読む
- 食品・植物に関する記載があれば、その条件を確認する
送る前に、宛先国の欄を一度自分の目で見てください。 これが確実です。
贈る前に考えたい4つのこと
日本茶を海外へ贈るとき、多くの人は「どのくらい良いお茶を選ぶか」を考えます。私もそうでした。
でも実際に贈ってみて分かったのは、グレードより先に考えることが4つある、ということでした。
私は一時帰国のお土産として、オランダの同僚に煎茶と抹茶の両方を渡しています。喜ばれたのは、抹茶のほうでした。 そのときのことは別の記事に詳しく書きましたが(→ 日本茶を5カ国の同僚に出したときの反応)、なぜそうなったのかを分解すると、4つの論点が出てきます。
① 相手は、それが何か分かるでしょうか(言語表記)
これが一番大きかった、と今は思っています。
抹茶のパッケージには「MATCHA」と英語表記がありました。 同僚は袋を見た瞬間に、それが何か分かった。抹茶という言葉が、すでに向こうで通じる語彙になっていたということでもあります。
煎茶のほうは、パッケージがすべて日本語でした。 相手はそれがどういうお茶なのかイメージできず、私が口頭で飲み方を説明することになりました。
考えてみれば当たり前のことです。日本茶のパッケージは、原則として日本人向けに作られています。 産地も、品種も、蒸し具合も、すべて日本語で書かれている。日本にいるあいだは、それが「情報が丁寧に書かれた良いパッケージ」に見えます。海外に持ち出した瞬間、同じ面が読めない面に変わります。
これは味とも品質とも関係のない、しかし決定的な差でした。
対策は2つです。
- 英語表記のある商品を選ぶ。 輸出を意識しているメーカーの商品には、英語の商品名や説明が入っています
- 説明カードを添える。 これがいちばん確実です。この記事の後半に、そのまま印刷して使える英文カードを置いておきます
② 香りは、相手の好みに合うでしょうか(嗅覚)
同僚は、煎茶の香りが苦手そうでした。
はっきり言葉にされたわけではないので、ここからは私の推察です。煎茶の、とくに一番茶の旨味に伴うあの青海苔のような香りが、磯の匂いに近いものとして受け取られたのではないか、と思っています。
日本で育つと、この香りは「良いお茶の香り」として学習されます。しかし海苔や出汁の文化がない土地では、同じ香りが海産物の匂いとして届く可能性があります。これは私が実際に確かめたわけではなく、そのときの反応から考えたことです。一般論として断定はできません。
ただ、もしこの推察が当たっているとすると、やっかいな逆説が生まれます。
良い煎茶ほど、この香りは強くなります。 一番茶の、旨味の乗ったお茶ほど、海苔様の香りが立つ。つまり高い茶を贈るほど、外す可能性が上がるということになります。「良いものを贈ろう」という善意が、そのまま裏目に出る構造です。
関連して、ひとつ思い当たることがあります。オランダのスーパーで売られている現地メーカーの緑茶を飲んだとき、香りがかなり抑えられていると感じました。現地の市場に合わせて、意図的にそうしているのではないかと考えています(→ Pickwickの緑茶は日本茶の代わりになる?)。これも推察ですが、市場に受け入れられている製品がそういう設計になっている、という事実は参考になります。
対策としては、香ばしさが主役のお茶——ほうじ茶や玄米茶——から入るという手があります(→ 玄米茶の魅力を再発見してみませんか?)。抹茶は、後述するように使い道が広いぶん汎用性があります。
③ 相手は、どんな水で淹れるでしょうか(水)
これは私が自分で実験して、想像より差が大きいことに驚いた項目です。
同じ茶葉を、市販の軟水とオランダの水道水(硬度およそ140mg/L)で淹れ比べました。5段階で採点した結果、オランダの水道水では香りが1.0、あま味が0.5下がりました(→ オランダの水道水で日本茶を淹れると味はどう変わる?)。
このデータには、二方向の意味があります。
ひとつは、希望のほう。 このとき使ったのは、1,000円ほどの日常的な煎茶です。それでも軟水で淹れればちゃんとおいしい。高いお茶でなくても、水が合えば十分に楽しめます。
もうひとつは、注意のほう。 裏を返せば、高い茶を贈っても、相手の家の水が硬ければ持ち味は出ません。 5,000円の玉露を贈って、硬水で淹れられたら、その差の多くは飲む前に失われます。
そしてヨーロッパでは、パリ、ロンドン、ベルリンはオランダよりさらに硬い水です。硬度の高い地域に住む相手ほど、この問題は大きくなります。
対策のひとつとして、軟水のボトル入りの水を1本添えて贈る、という方法があります。 妙な贈り物に見えるかもしれませんが、「この水で淹れてみてください」と一言添えれば、意図は伝わります。少なくとも、最初の一杯を最良の条件で飲んでもらえます。
④ 関税で、相手に請求書が届かないでしょうか(コスト)
最後は、いちばん事故になりやすいところです。
オランダの場合、個人から個人への贈り物は、45ユーロ以下なら関税とVAT(付加価値税)が免除されます。 オランダ税関が公開している条件は次の4つです。
- その贈り物を受け取るのが一度きりであること
- 受取人本人または同居家族の個人使用のためであること
- 受取人が対価を支払っていないこと
- 転売を目的としていないこと
新品でも中古でも扱いは変わりません。ただし酒とたばこは、この免税枠とは別に個別消費税(excise duty)の対象になります。お茶には関係のない話ですが、一緒に何かを入れるときは頭の隅に置いておいてください。
問題は、45ユーロを超えたときです。 超えた分だけ課税されるのではなく、受取人がVATと関税を支払うことになります。つまり、贈り物を送ったつもりが、相手のところに請求書が届く。好意を受け取ったはずの相手に、支払いが発生する。贈り物としては最悪の結末です。
送料を除いて45ユーロ以内。これがオランダに贈るときの、実用的な上限です。
日本円にすると7,000円前後(為替によります)。この記事の予算表で言えば、3,000〜5,000円の帯は問題なく収まります。海外に贈るときは、国内と同じ予算感で足りると考えてください。
免税額は国によって違います。 オランダの45ユーロという数字を、他の国に流用しないでください。宛先国の税関のサイトで「gift」「customs」といった語で調べれば、たいてい同じような案内が見つかります。
結論——煎茶でも喜ばれます。ただし「伝わる形」で
4つを並べたうえで、正直に書きます。
高級煎茶の専門サイトがこう書くのは妙かもしれませんが、海外の人に贈るなら、まず抹茶のほうが確実です。 名前が知られていて、英語表記があって、アイスクリームやラテにかけるという飲む以外の使い道まである。実際、私が渡したときもそうでした。
でも、それは煎茶が劣っているという意味ではありません。
抹茶が勝った理由を並べてみると、味の話は一部でしかないことが分かります。英語表記があった。言葉が知られていた。使い道が広かった。そのうえで、香りの好みが分かれた。
煎茶は、味で負けたのではなく、伝わらなかっただけだと私は思っています。
だとすれば、打つ手はあります。英語表記のある商品を選ぶ。飲み方を書いたカードを添える。相手の水を考えて茶葉を選ぶ。 これだけで、条件はかなり変わるはずです。
煎茶でも海外で喜ばれます。ただし、伝わる形にして贈る必要がある。 それがこの記事の結論です。
【保存版】そのまま使える、英語の淹れ方カード
日本語表記しかない煎茶を贈るときのために、印刷して同封できるカードを用意しました。そのままコピーして使ってください。
淹れ方の数値は、私自身が実験したときの条件(茶葉5g・70℃・80秒)に合わせています。
─────────────────────────────────
JAPANESE SENCHA 煎茶
Loose-leaf green tea from Japan
─────────────────────────────────
This is SENCHA — whole green tea leaves.
It is not matcha: do not whisk it.
Steep the leaves and strain them out.
HOW TO BREW (for 2 small cups)
1. LEAVES 5 g (about 2 heaped teaspoons)
2. WATER 180 ml / 6 oz
Soft, low-mineral water is best.
If your tap water is hard, use
bottled still water instead —
it makes a real difference.
3. HEAT 70°C / 160°F
NEVER use boiling water.
Boil, then let it cool 5 minutes.
4. TIME 80 seconds. Do not stir.
5. POUR Pour a little into each cup in
turns, and empty the pot completely
down to the last drop.
SECOND CUP
Use the same leaves again — hotter (80°C /
175°F) and much shorter (20 seconds).
Good for 2–3 brews in total.
IF IT TASTES BITTER
The water was too hot, or it steeped too long.
Sencha is meant to be sweet and savoury,
not sharp.
KEEPING IT
Airtight, away from light, heat and strong
smells. Tea absorbs odours easily.
Best enjoyed within 1 month of opening.
─────────────────────────────────このカードで意識したことを、4つだけ書いておきます。
冒頭で「これは抹茶ではない」と断っていること。 抹茶が広く知られているぶん、緑色の粉でないものが届くと混乱が起きます。私が説明することになったのも、まさにここでした。
温度を摂氏と華氏で併記していること。 受け取る国によって、どちらか一方しか通じません。
「苦かったら」のトラブルシュートを入れたこと。 初めて煎茶を淹れる人が失敗するのは、ほぼここです。熱湯を注いで渋くなり、「このお茶は自分に合わない」と結論されてしまうのが、いちばんもったいない。
保存の項に「においを吸う」を入れたこと。 キッチンの棚でスパイスと並べて置かれると、はっきり影響が出ます。
送るときの実務
密閉。 茶葉は他の食品のにおいを吸います。真空パックかアルミの袋に入っているものを選び、開封済みのものは送らないでください。
インボイスの品名。 英語で書く必要があります。”Green tea (dried leaves)” のように、加工された乾燥茶葉であることが分かる書き方にしてください。単に “Tea” とだけ書くより、税関で判断がつきやすくなります。
到着までの日数と、その間の劣化。 船便は避けてください。数週間かかるうえ、温度管理がありません。航空便でも1週間から10日ほどかかるので、新茶のような鮮度が命の茶葉は、海外向きではありません。 ほうじ茶のように火入れの香ばしさが持ち味のお茶なら、多少時間が経っても印象が変わりにくいはずです——ここは私の見立てで、比較実験をしたわけではありません。
急須がない家に送るなら。 ティーバッグか、水出し用のパックを選んでください。あるいは、小さな急須ごと贈るという選択肢もあります(→ 日本茶は「茶器」で化ける。お盆・急須・湯吞みの3つだけこだわってみた話)。私自身、海外で日本茶を淹れる道具をそろえるまでに時間がかかりました。相手に同じ手間をかけさせない、というのもひとつの配慮です。
海外発送に対応している店
山本山は、2024年11月から海外発送の受付を停止しています。 前半で紹介した国内のギフト対応は充実していますが、海外へは送れません。
海外発送という一点で、確認できた店をひとつ挙げておきます。きみくら(静岡・掛川)が、kimikuratea.com というグローバルストアを運営していて、6ゾーン制で世界に発送しています。欧州はZone4です。DHL・UPS(Express)、EMS(Standard)、AIR Small Packet(Economy)から選べます。
この店について、ひとつ実務的に重要な点があります。ギフトとして送る場合、注文者が関税を代払いできます(注文メモか問い合わせで連絡する形です)。
これは、さきほど④で書いた「贈り物なのに相手に請求書が届く」という事故を、送り主の側で防げるということです。45ユーロの枠を超える贈り物をどうしても送りたい場合、これは有効な手段になります。「海外に贈るなら、関税を送り主が負担できる店を選ぶ」——これは覚えておく価値のある基準だと思います。
なお、きみくらは1938年に個人創業、1991年に法人設立という沿革です。掛川は深蒸し茶の産地で、掛川市の公式サイトによれば「普通煎茶よりも蒸し時間を2倍から3倍長くした『深蒸し煎茶』が主流」とされています。
この店の国内向けのギフト対応(のし、表書き、弔事用の掛け紙、配送日指定)については、私の環境から国内サイトにアクセスできず、確認が取れていません。 確認できていないことは書きません。弔事の用途で検討されている場合は、山本山のほうを見てください。
実際に贈ったもの(八女抹茶)
参考までに、私が実際に同僚に渡した抹茶を書いておきます。
抹茶パウダー 八女産 国産 MATCHA 八女抹茶 100g(お茶村・楽天市場)
先にお断りしますが、私自身はこの抹茶を飲んでいません。 お土産として渡しただけです。ですから味の評価はしません。 これは「おすすめの抹茶」ではなく、「私が実際に贈って、喜ばれた実例」として読んでください。
選んだ理由と、結果的によかった点は3つあります。
パッケージに英語表記があったこと。 “MATCHA”、”matcha powder Japanese green tea”、”Yame Matcha”。①で書いた論点に、そのまま当てはまります。開けた瞬間に何か分かる、というのはそれだけで価値がありました。
八女という産地。 福岡県八女は、玉露で全国的に知られる産地です。産地名がパッケージに入っていることで、「どこかで作られた緑の粉」ではなく、特定の場所の産品として伝わります。
飲む以外の使い道があること。 オランダにも抹茶味のアイスやラテがあるので、粉のまま振りかける使い方が想像できます。急須も湯温の管理も要りません。受け取った人が、自分の生活のなかで使い道を思いつける——地味ですが、海外に贈るときの大きな条件だと思います。
贈る前の最終チェックリスト
注文ボタンを押す前に、ここだけ見てください。
国内に贈る場合
- □ 相手は急須を持っているか(分からなければティーバッグ)
- □ 量は多すぎないか(開封後1ヶ月で飲みきれるか)
- □ 表書きと水引は、そのシーンに合っているか
- □ 弔事なら、「のし」ではなく掛け紙になっているか
- □ 配送日は相手の都合に合っているか(何度も再配達させると、それだけで気を遣わせます)
- □ 挨拶状やメッセージカードは必要か
- □ 予算は相手に返礼の負担を感じさせない範囲か
海外に贈る場合(上に加えて)
- □ パッケージに英語表記はあるか
- □ なければ、説明カードを添えたか
- □ 相手の住む土地の水は硬水か(硬ければ、軟水のボトルを添えるか、香ばしい系のお茶に)
- □ 免税枠に収まっているか(オランダなら送料を除いて45ユーロ以内)
- □ 宛先国の禁制品を日本郵便の国際郵便条件表で確認したか
- □ インボイスの品名は “Green tea (dried leaves)” のように書いたか
- □ 密閉されているか、開封済みでないか
よくある質問
Q. 日本茶ギフトの相場はいくらくらいですか?
A. 3,000〜5,000円がもっとも一般的です。取引先や目上の方には5,000円以上、友人なら2,000〜3,000円が目安になります。1万円を超えると、相手に返礼の負担を感じさせることがあります。
Q. 香典返しにお茶を贈るのは失礼ではないですか?
A. 失礼にはあたりません。高島屋や松坂屋名古屋店も、香典返しにふさわしい品としてお茶を挙げています。使えばなくなる「消えもの」であること、日持ちすること、相手を選ばないことが理由として説明されています。
Q. 香典返しの「志」と「満中陰志」は、どちらを使えばいいですか?
A. 迷ったら「志」です。全国、全宗教で使えます。「満中陰志」は主に関西から西日本で使われ、北陸を含めるとする出典もあります。相手の地域の慣習が分かる場合は、それに合わせてください。
Q. お歳暮の時期を過ぎてしまったら、どうすればいいですか?
A. 表書きを変えて年明けに贈ります。「御年賀」は松の内まで(関東は1月7日、関西は1月15日まで)。それを過ぎたら「寒中御見舞」(立春の前日まで)、さらに過ぎたら「余寒御見舞」になります。品物はそのままで、掛け紙だけを変えれば済みます。
Q. のしは内のしと外のし、どちらにすればいいですか?
A. 配送なら内のし、手渡しなら外のしが基本です(掛け紙が配送中に傷むのを防ぐため)。ただし高島屋は「名前を広く知らせたい場合は外のし、控えめにしたい場合は中のし」という、意図で決める考え方も示しています。香典返しは配送が多いので内のしが基本になります。
Q. 茶葉とティーバッグ、どちらを贈るべきですか?
A. 相手が急須を持っているかどうかで決めてください。持っていない、または分からない場合はティーバッグのほうが確実に飲んでもらえます。茶葉のほうが格上、という感覚はありますが、飲まれないまま置かれる茶葉より、飲まれるティーバッグのほうが良い贈り物です。
Q. 海外に日本茶を送ることはできますか?
A. EU向けについては、2023年8月3日に日本産食品の輸入規制が全廃され、放射性物質検査証明書と産地証明書は不要になりました。ただし禁制品の扱いは国ごとに違うため、日本郵便の「国際郵便条件表」で宛先国の欄を確認してください。また、免税枠にも注意が必要です(オランダの場合は45ユーロ)。
Q. 外国人の友人に贈るなら、煎茶と抹茶のどちらがいいですか?
A. 確実さで言えば抹茶です。 私がオランダの同僚に両方を渡したときも、喜ばれたのは抹茶でした。英語表記があって開けた瞬間に何か分かること、言葉が知られていること、飲む以外の使い道があることが理由だと考えています。ただし煎茶が向かないという意味ではありません。英語表記のある商品を選ぶか、飲み方のカードを添えれば、煎茶でも十分に喜ばれます。
Q. 開封後の茶葉は、どのくらいで飲みきるべきですか?
A. 密閉して冷暗所に置いた場合で、おおむね1ヶ月が目安です。賞味期限とは別に、香りが落ちはじめる時期と考えてください。だからこそ、ギフトでは量を増やしすぎないことが大切です。
まとめ
長くなったので、3行にまとめます。
- 量より質。 開封後1ヶ月で飲みきれる量にして、浮いた予算はグレードか箱に回す
- 弔事は「のし」を付けない。 熨斗のない掛け紙を使い、表書きは迷ったら「志」
- 海外へ贈るなら、グレードより先に4つ。 英語表記/香り/相手の水/関税の免税枠
| シーン | 予算 | 表書き | 水引 |
|---|---|---|---|
| 敬老の日(2026年は9月21日) | 3,000〜5,000円 | 御祝/敬寿 | 紅白・蝶結び |
| お中元 | 3,000〜5,000円 | 御中元 | 紅白・蝶結び |
| お歳暮 | 3,000〜5,000円〜 | 御歳暮 | 紅白・蝶結び |
| 香典返し | 半返し〜3分の1 | 志/満中陰志 | 黒白・黄白/結び切り |
| 海外の家族へ | 送料別で45ユーロ以内 | — | — |
最後に、この記事の限界を正直に書いておきます。
私はここで紹介した老舗のお茶を、まだ飲んでいません。 書けたのは、のしの作法と、ギフトとしての仕様と、自分が実際に人に贈って見た反応までです。味については何も保証していません。
2026年12月に日本へ帰ります。 そのときに実際に取り寄せて飲み、この記事に追記します。お歳暮の時期とちょうど重なるので、間に合えばその前に。
茶器の記事で「湯呑だけはまだ見つかっていない」と書いたときと同じで、手元にないものは「無い」と書いておくほうが、あとで書き足したときに意味を持つと思っています。そのときにまた読んでいただけたら嬉しいです。



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