煎茶は70度から80度くらいの湯で淹れるものだと思っていて、普段もそのあたりで淹れています。なぜ温度を変えて試してみようと思ったのかというと、正直なところ特に理由はなくて、記事に何を書こうかと考えていたときに出てきただけです。ただ、やってみたら、いちばん好きだったのは普段使っていない温度でした。
試した条件
茶葉はいつも飲んでいる土佐の緑茶で、3杯とも同じものを使いました。茶葉を5グラム、湯を100ミリリットル、浸出時間は2分です。変えたのは湯の温度だけで、60度、70度、80度の3つにしました。
温度は温度計で測っています。茶葉の5グラムというのは、このサイトの淹れ方の記事でも1人前として書いている量ですが、急須が150ミリリットルなのに対して今回は100ミリリットルなので、普段よりは少し濃いめになっています。3杯とも同じ条件なので比べることはできますが、濃いめに出しているぶん、渋みの差はふだんの淹れ方より出やすかったかもしれません。

変わったのは、渋みでした
飲み比べてすぐに分かったのは渋みです。80度がいちばん渋みを感じて、70度は80度と60度の中間、60度は渋みがかなり抑えられていました。私はこの60度のものが好きです。
10度ずつしか違わないので、もっと分かりにくいものだと思っていたのですが、並べて飲むと順番がはっきりします。温度が高いほど渋みが出る、というのはこういうことなのだと思いました。
甘みは、渋みの裏返しかもしれません
60度のほうが甘く感じました。ただ、これは渋みとリンクしているため、相対的に甘く感じただけかもしれません。渋みが引っ込んだぶん、もともとあった甘みが前に出てきた、という言い方のほうが近い気がします。
香りもコクもキレも、差が分かりませんでした
ここからが、やってみるまで思っていなかったところです。香りは3つとも差を感じませんでした。コクもあまり差がなく、キレも同じで、これは茶葉としての性質によるのかもしれません。
水色(すいしょく)、つまり湯呑に注いだお茶そのものの色も、あまり差はありませんでした。強いて言えば80度がいちばん色が濃く出ているのですが、上の写真のとおり、言われなければ気づかない程度です。こうしたお茶の言葉は日本茶の用語辞典にまとめてあります。
温度を変えて分かったのは、変わらないものの多さでした
温度を変えて動いたのは渋みだけで、香りもコクもキレも、水色でさえほとんど変わりませんでした。同じ茶葉であれば、湯の温度で変わるのは渋みの出かたなのだと思います。
淹れ方の記事を読むと、温度でお茶の味が大きく変わるように書かれていることが多くて、私もそう思っていました。実際にやってみると、変わったのは一か所で、あとはほとんど動かなかったというのが今回の結果です。
いちばん好きだったのは、普段使っていない温度でした
最初に書いたとおり、普段は70度から80度あたりで淹れています。今回いちばん好みだったのは60度でしたから、普段使っている範囲の外側にあったことになります。
ひとつ思い出したことがあります。このサイトの高級煎茶の淹れ方の記事で、ドリップカップを間に挟む方法を書いていて、そうすると湯の温度が80度から60度ほどになる、としています。当時は手順として書いただけでしたが、今回の結果からすると、あの一手間は渋みを抑えるという意味でちゃんと効いていたのだと思います。同じ記事で蒸し茶を60度から80度の湯でと書いているのも、今回試した範囲とそのまま重なっていました。
渋みが苦手なら、湯を冷ましてから
日本茶が苦手だという人には手間だと思いますが、沸騰直後のお湯ではなく、5分から10分程度冷ましたお湯で淹れるのがいいと思います。渋いから苦手なのだとしたら、茶葉を変えるより先に、湯の温度を下げてみるほうが早いかもしれません。
ただ、何分置けば何度まで下がるかは、部屋の温度や湯呑の材質、湯の量で変わります。先ほどのドリップカップのように器を一つ挟むやり方でも下がりますし、温度計があれば確かめられます。
さいごに
抽出する湯の温度が高いほど渋みが出る、というのは思っていたとおりでした。驚いたのは、ほかの要素ではあまり差が出なかったことです。そのかわり温度が低いと角が取れたように渋みがかなり抑えられて、甘みを感じられました。
今回の土佐の緑茶は、オランダのスーパーの緑茶売り場を見て回った日に家で淹れたのと同じお茶です。茶葉そのものを選ぶときの話は高級煎茶のおすすめと選び方にまとめてあります。



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